魔法の映画 | |
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小さいころは、夏になると、移動映画館がやってきました。 日が落ちると座布団と蚊取り線香持参で村中の人が神社の前の広場に集まります。鳥居に張られた大きなスクリーンの前にはゴザが敷かれ、僕たちは一番前に座らされました。 何の予告もなく映写機がカラカラと音を立て始め、お決まりのチャンバラ映画が始まるのです。今ならドライブインシアターでしょうか。スクリーンのスターに声援を送るおじいちゃんやおばあちゃんもいます。 しばらくチャンバラが続いた後で突然スクリーンが真っ白になることがありました。古いフィルムを何回も上映するのでフィルムが切れるのです。僕たちは一斉に映写機の前に集まり映写技師のおじさんがフィルムをつなぐのを待ちます。映画が再開されると、おじさんは切れたフィルムの一部を子供たちに分けてくれます。 映画の内容はわかりやすく正義の味方と悪役は一目でわかるようになっています。水戸黄門みたいなストーリーだったのでしょう。必ずヒーローが悪いやつらを懲らしめて、みんなを幸せな気分にしたところで、映画は終わります。 神社からの帰り道、僕たちはおかあさんに今見た映画の面白かった場面の話をします。棒を振り回している仲間もいました。移動映画館は、僕たちに魔法の映画を届けてくれました。
05年03月08日
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