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きものに詳しいお母さんがいたり、お稽古で着物に詳しい先生についていたりすると、品質の良し悪しについて教えてもらうこともあるかもしれません。

昔からこういうものがいいもの、といわれてきたけれど、そうとは限らない、今はちょっと変わってきたというものもあります。

今回はそうした点に触れたいと思います。
この常識ウソ・ホント?的にお楽しみいただければと思います。


・なんといっても手描き

手描きが良いもので型染めは量産の廉価品と思われていませんか。
確かに手描きの凝ったもの、作家さんの作品など高価なものも多いです。

実は枚数をあまり作らないのなら、色数によっては型染めより手描きのほうが安く作ることができる、ということはほんんと知られていません。

型紙は1色につき1枚必要です。
5色使ったら5枚必要になります。

色数の少ないシンプルな柄をワンポイントで入れたものを少しだけ作るのなら手描きのほうが安くなることもあります。
もちろん手描きしてもらうのに半端じゃない料金をお支払いしなければいけない作家さんもいますので、描く人にもよります。

何より型染めにもすばらしいものがあります。
紅型や江戸小紋なども型紙を使って染めるきものです。
紅型や江戸小紋のように名前がなくても素晴らしい型染めの着物はいくらでもありますし、型染めがつい最近始まったものというわけでもありません。

この点が知られていないのはどうしてなんでしょう。


・重い生地ほどいいものだ

昔はそういわれていましたが、今はそうとも限らないようです。

細く丈夫な糸を密に織ったり、織りを工夫して強度を高めたりと、薄手で軽くて丈夫、それでいてしなやかな生地も作られるようになっています。
ちりめん地のどっしりしたいいものも健在ですが、そういうものもあるのです。

きものを着慣れない世代が増えていくのですから、軽くて丈夫な着物は抵抗が少なくていいかもしれません。

これは問屋さんの年配の方もしみじみ語られていました。

物のない時代は質の良くないものも多く混じっていて、重さというのは分かりやすいポイントだったというのもあるのでしょう。

今はまた別の理由で質のよろしくないものも流通していますが。

きものの本できものの重さの目安が書かれているものもあるそうですが、問屋さんならともかく消費者であるきものファンの方が重さを気にされる必要はないと、私は思っています。
かばんのように重さが大きく使い勝手にかかわるものではないですし(全くないとはいいません)、同じ長さで極端に違うものでもありません。
触った感じや色柄の好みで選んでいいと思うのですが、そうした点を気にされるのはやはり着物の販売に対して、価格に対して不信感があるのでしょうね。

ちなみに色無地や喪服で共八掛が付いた状態のものはもちろん付いていないものよりは重くなります。
中に巻かれている芯は軽いものですが、重さで価値を判断する方が増えたら中の芯は重くなるかもしれませんね。

・○○紬は安物、○○産は質が悪い

これも物のない時代に定着してしまったイメージでしょう。
ですが同じ○○紬、○○産でもいいものとそうでないものが作られていたり、時代の流れで質を落とすことを選択し、そこで作られたものが多く流通したという背景があったりします。
その方が手にした・袖を通した時代や環境によっても違ってしまうのでしょう。

具体的にいえば村山大島でもけっこういいものがあったり、銘仙は良くないものばかりだったという人もいれば銘仙でもいろいろあったという人もいます。
銘仙が質の悪いものばかりだったら今のアンティークショップには着用に耐えられるものなど1枚もなかったかもしれません。

廉価なものをたくさん作っていた産地でも意外にいいものを作っているところがあったりします。
技術や織機があるわけですから、糸の長さや質を変えたところで織機や手がアレルギーを起こすわけではありません。
魚や野菜と違ってその土地の環境ではこういうものしか採れないという制限は多くはないと思います。
染料や技術的な調整は必要になるでしょうけれど、いいものを作る方向にシフトすることはそれほど難しいことではないでしょう。
おそらく「○○産は良くない」というイメージを払拭していいものとして流通ルートに乗せるほうがむずかしいのではないでしょうか。


「着物を自由に、気軽に着たい」「知識や決まりごとにとらわれずに楽しみたい」という方は多いのですが、知識や決まりごとをおさえて安心したいという思いも強いのではないでしょうか。

きものの世界では有名なある方が「きものはもっと気軽に楽しんでいいと思います。どんどん着て楽しんでください」と言ったそばから「で、先生がお召しになっている着物はなんという織りの着物ですか。どこのものですか」と聞いた人がいたのを見たことがあります。

やはり価格に対しての不安も大きいのでしょうね。
極端な話ですが「他の呉服屋さんで○○先生という方のきものを○万で打っていたので迷っているんですが、この先生のきものはどのぐらいの値段がするものなんですか」という電話がかかってきたことがあります。
(お得意さんというわけではなく初めて電話をいただいた方でした。)

作家さんといわれる方はたくさんいますから、きもの業者なら誰でも知っている特に高名な方でない限り、こうして聞かれても初めて聞く名前という可能性が高いです。
同じ作家さんの訪問着でも柄の分量や色数によって価格が違いますし、その作家さんの代表的なモチーフとそうでないものとではまた値段が違う場合があります。
他の業者さんが一生懸命商売をされているのに無責任なことはいえませんから、そういう質問には答えにくいですね。

気に入っていて支払いが可能で自分の中では納得のいく額ならお求めになられればいいと思いますし、お店の方に説明してもらっても信用できないから他のお店の人に聞きたい、というのであれば買わないほうが良いと思います。
そういう気持ちで買ってもあまり満足できないのではないでしょうか。

06年10月19日

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