街を素敵にする魔法使い
何年か前、飛騨の高山へ旅行に行きました。古い町並みが素敵な町です。
普段はしない早起きをして、朝市に出かけました。
花に囲まれたテントの中にアケビを見つけて、友達に、
「アケビだよ!おいしいんだよ。食べたことある?」
そんな立ち話をしていたら、花売りのおばあちゃんが、
「早起きをして、採ってきたんだよ。」
「こうやって食べるんだよ。」
親切で、やさしくて美人のおばあちゃんでした。
それがきっかけで、次の年もおばあちゃんに合うために旅行を企画しました。
友達3人で始まった高山旅行が、何年か経つうちにマイクロバスでの旅行になりました。
もちろん、目的は、僕らのアイドル!花売りのおばあちゃん♪
僕たちの高山は、そのおばあちゃんのイメージです。
体を悪くして、花のお店が閉まっていた年には、近くのお店の人に住まいを聞いて、お見舞いに行きました。
家族の人たちは、おばあちゃんの若い大勢の友達のお見舞いにびっくりしていました。(^.^)
おばあちゃんは僕たち全員のおばちゃんでした。
最後に高山へ行った時には、もう、おばあちゃんの花屋さんはありませんでしたが、ゆっくり、朝市の買い物をしました。
その街が素敵なのは、今はもういないけれど・・・あのやさしかったおばあちゃんのおかげです。
彼女は街を素敵にする魔法使いだったのですね。
かなり前に書いたこの話を読み返して「人は観光資源」なのだという事に気付きました。
南三陸町歌津にはこのお話で紹介したようなおばあちゃんが大勢います。
かつて若者だった自分が何回も高山に足を運んだように、歌津に住むおばあちゃんの出番を作ってここが「思い出の場所」になる人をもっと増やしたい。
そして、自分もこのおばあちゃんのようになりたい。