二人三脚
伊里前福幸商店街の駐車場や畳敷きの楽テントには、学校帰りの迎えを待つ子供たち、近くに住む子供たち、その友達が自然に集まります。
大人達が声をかけるのは危険な遊びやゴミのポイ捨て等の普通の注意をする時だけです。
帰りが遅くならないように声をかける事もあります。
皆んな良い子です。
伊里前福幸商店街は震災前の公民館駐車場に作られました。
元々、公民館周辺は家族の迎えを待つ子供達の場所だったそうです。
少子化が進み、どの都市でも子どもは冷暖房完備おやつ付きの子ども部屋が与えられ、テレビ、ファミコン、ステレオ、ボードゲームなどの室内遊びが増え続けています。
そんな現代ですが、伊里前の子供達は、自由に遊べる屋外の「空間」と「時間」、そして一緒に遊ぶ「仲間」を得る事が出来ました。
将来に繋がるこのような環境が出来たのはこの地域を応援してくれる方々のおかげである事は言うまでもありません。
「必要な物はありませんか」と、支援を申し出てくれた方々にテントをお願いしました。
しばらくして別の方々から声がかかった時は、見積書を作ってテントの横幕を寄贈して頂きました。
多くのボランティアの方々が津波被害を受けた瓦礫が残る敷地を奇麗にしてほしいという住民の声を聞いてくれました。
奇麗になった敷地は大きな駐車場に姿を変えイベント時に大活躍するようになりました。
まだまだ復興途中ですが、商店街が2011年の12月にオープンしてから今日の環境が出来るまでに20ヶ月かかりました。
誰がこの環境を作ったのかと聞かれたら、『この地域に住む人達が周囲への配慮をしながら支援者の皆さんと一緒に作って来た』と答えます。
日本全国何処に住んでいても自分の住む町の環境を気にかけて町の為に尽力する方々がいらっしゃると思います。
地域の特色を十分に把握している素晴らしいアイデアを持っている方々が町おこしの牽引車になっています。
伊里前地区も同じ様に地元のリーダーは素晴らしい仕事をしています。
例えば春の「しろうおまつり」は、伊里前商店会・伊里前福幸商店街・南三陸商工会青年部・南三陸町観光協会・南三陸町・宮城県漁業協同組合歌津支所・南三陸農業共同組合・南三陸商工会の協力で開催されました。
そして忘れてはいけないのは、このお祭りの裏方として多くのボランティアさんが参加してくれた事です。
助けて頂いた皆様にうまく伝える事が出来たか不安ですが、この記事を書いた理由は、商店会長に次のように言われたからです。
「商店街の周辺の瓦礫撤去で来てくれた方々、裏方に徹して駐車場整理を手伝ってくれた方々、伊里前川の掃除をしてくれた方々、そういう方々が本当のボランティアだよね。今は何のお返しも出来ないけれど、そういう人達に感謝の気持ちと、あなたたちのおかげで子供達が集う場所が出来た事、大きなイベントを開ける伊里前福幸商店街になった事の感謝の気持ちをいつか記事にして欲しい。」
南三陸町の仲間たち 南三陸町の仲間たち 2013/07/20